<「金融爆弾」はグリーンスパン元FRB議長が仕掛けた>
世界的な金融危機の元凶はJPモルガンが生み出したモンスター、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)というデリバティブ(金融派生商品)の濫用だという。世界的投資家ウォーレン・バフェットは、CDSの事を時限爆弾のような「金融爆弾」とも呼んでいる。
アラン・グリーンスパンは、彼の論文「金と経済的自由」で主張していたように、金本位制の信奉者であることは間違いありません。
しかし、FRB議長に就任するや否や、彼が実行した政策のすべてが、それと正反対のものになりました。それもそのはず、グリーンスパンこそが、今日の世界恐慌の危機を仕込んだ張本人だからです。
<各国政府・中銀は金に対する戦争「ゴールド・ウォー」に敗北する
異口同音に警告を発しはじめた投資界の"レジェンド">
今年に入ってから、投資の世界では、いわゆる"レジェンド"と称されているファンド・マネージャーやアナリストたちが、日本の゛デフォルト・リスクについてコメントするようになりました。
また、つい4、5日前にも、エゴン・フォン・グレヤーズという"レジェンド"が、「日本に最後の審判の日が迫っている」とありがたくない警告を出しています。
こんなことは、日本の証券アナリストやストラティジストなら、たとえ口が裂けても言えないでしょう。
彼は、ロシアの英語圏向けメディア「RT」にコーナー番組を持つマックス・カイザーのプログラムによく出演しています。
<「銀を買ってJPモルガンを潰そう!」運動>
マックス・カイザーとは、怪異な風貌をした独特の語り口で知られる金融ジャーナリストです。
カイザーは、2013年6月25日の「RT」で、このような過激な発言をしました。
「私は、ロシア、中国、エクアドルに、米国と英国にいる金融テロリストたちに断固、立ち向かってほしいと思っています。決して、途中で諦めたりせず、ウォールストリートの金融テロリストたちに決して温情を示さないでほしいのです。」
カイザーが「ウォールストリートの金融テロリスト」と呼んでいるのは、JPモルガン・チェースのような大銀行を動かしている国際金融資本家のことです。
彼が提唱している「銀を買ってJPモルガンを潰そう」運動は、米ドルが崩壊するまでに市民が銀の現物を買い占めてしまえば、JPモルガン・チェースのような巨大銀行が保有する莫大なペーパーマネーは紙くず同然となって破産してしまう、という愛すべき無邪気さから来ています。
<グリーンスパン元FRB議長「我々の財産を守るにはゴールドが不可欠」>
カイザーは、フェルディナンド・リップスの著書『Gold Wars』を読んだのかも知れません。(いまなぜ金復活なのか―やがてドルも円も紙屑になる)
フェルディナンド・リップスは、金投資の世界では「金の教皇」の異名をとる"レジェンド"です。
彼は、パリのモルガン銀行、トロント・ドミニオン証券、スイス・バンク・コーポレーション、ユリウス・ベアといった名門金融機関を渡り歩き、1968年、英国とフランスの両ロスチャイルドが手を結んで開業したチューリヒ・ロスチャイルド銀行の設立に参加した後、マネージング・ディレクターに就任しました。
リップスは、「金価格は月に届くほどに上昇する。必ず経済的な大惨事が訪れる。世界経済は崩壊の危機に立つことになる。金を持っていれば、そうした中でも自分を守ることはできる」と常々主張していた筋金入りの金信奉者です。
リップスは、著書『Gold Wars』の前書きで、このように書いています。
「金と経済的自由とは不可分である。金本位制という制度下でなければ、インフレーションという名の略奪から資産を守ることはできない。我々の財産を守るには金は欠かせないのである。このことを、しっかり理解していれば、政治家たちが金本位制に反感を抱いている理由が容易に理解できるだろう。」
これは、後のFRB議長、アラン・グリーンスパンが1966年に書いた論文「金と経済的自由」の中の一節です。
この文章が書かれてからわずか5年後の1971年には、ブレトン・ウッズ体制、つまり金ドル本位制が廃止され、以来、世界の主要国の通貨は、みな金の裏付けから切り離されてしまいました。
国家は自由に通貨を発行できるようになり、「政府の信用」という幻想を「裏付」とした不換紙幣が世界中に蔓延するようになったのです。
基軸通貨の発行国であるアメリカは、際限なくドルを発行していますが、そのドル紙幣の実質的価値は下落し続けているのです。
ところが、各国の政府と中央銀行は、自国の通貨の実質的価値が下落していることが露見するのを防ぐため、金の価格を操作するという道を選びました。
そうして金から貨幣としての機能を奪い去り、紙幣だけが本物のお金であるという信仰を広めようとしているのです。
まさに、各国政府・中央銀行は金に対する戦争「ゴールド・ウォー」を仕掛けているというわけです。
そうすれば、金融政策のデタラメさが覆い隠されるとでも信じているのでしょう。
ところが、結果は、いくつもの通貨危機、経済危機、そして、戦争でした。
リップスは、『Gold Wars』の中で、「すでに金の戦争は2002年に決着し、我々、すなわち、ロスチャイルドはこの戦争に勝利した」と述べています。『Gold Wars』が出版されたのは2002年のことです。
<リバタリアンと金(ゴールド)信奉者、2つの顔を持つグリーンスパン>
アラン・グリーンスパン(第13代FRB議長)は、60年代以降、リバタリアニズムの政治思想を代表する女流哲学者として頭角を現したアイン・ランドの一番弟子として知られています。
グリーンスパンは、ジェラルド・フォード政権下で1974年から1977年まで大統領経済諮問委員会の議長を務めました。このとき、フォードにグリーンスパンを推薦したのがアイン・ランドだと言われています。
このアイン・ランドを一躍有名にしたのが、アメリカで「聖書の次に影響力のある小説」と言われている『アトラス・シュラッグド(Atlas Shrugged/邦題:肩をすくめるアトラス)』でした。
アイン・ランドは、パトロンであったフィリップ・ロスチャイルドから、多くのインスピレーションとサジェスチョンをもらい、この本を書き上げました。
なぜ『アトラス・シュラッグド』が「聖書の次に影響力のある小説」と言われているのかというと、それは、この本がロスチャイルドの世界支配計画の青図を描いたものであるとされているからです。
事実、宗教者の多くが「世界は、この小説のとおり流転している」と言って、20世紀の奇書として扱っています。
アラン・グリーンスパンは、フォード政権で働いた後、アルコアやABCの取締役に就いていましたが、1987年からは第13代連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めることとなりました。
このときにも、フィリップ・ロスチャイルドの愛人であったアイン・ランドの口添えがあったと言われています。
<グリーンスパンの「二面性」が意味するもの>
アラン・グリーンスパンは、彼の論文「金と経済的自由」で主張していたように、金本位制の信奉者であることは間違いありません。
しかし、FRB議長に就任するや否や、彼が実行した政策のすべてが、それと正反対のものになりました。
それもそのはず、グリーンスパンこそが、今日の世界恐慌の危機を仕込んだ張本人だからです。
<金の現物保有を勧める専門家たちに「意外な共通点」>
この2年ほどの間、グローバルな金融崩壊を警告している"レジェンド"たちが発している未来予測の多くに目を通してきて分かったことは、リンゼイ・ウィリアムズ牧師を始めとして、彼らの多くがクリスチャンである、ということです。
彼らに共通するのは、不換紙幣、株式、債券などのペーパーマネーを、金(ゴールド)や銀(シルバー)などの貴金属の現物に換えておくことを推奨している点です。
そうすることが彼らにとって、「来るべく世界的な経済崩壊に備えるもっとも有効な方法」だという信念になっているのです。その信念は、どうやら聖書に基づいているようです。
聖書には、「金貨1枚で多くの民の飢えをしのぐことができる」という意味の記述があることから、最後の審判の日がやってきて艱難辛苦が訪れたとき、金を保有しておくということを「神の預言」として受け止めているのです。
<ウォール街のトレーダーとは正反対の"投資"スタイル>
アメリカの投資家は、ウォール街のトレーダーに代表されるように「利回り」で儲けようとします。
彼らにとっては、元本は利回りを生まないので、そもそもが投資の対象ではなく、レバレッジを利かせたプット・オプション、コール・オプションといった、うまく立ち回ることができればそれこそ短期間で巨万の富を手に入れることができるデリバティブに全精力を注ぐようになるのです。
当然、こうしたトレーダーは、世界規模の金融崩壊こそ千載一遇の儲けのチャンスだと捉えています。
彼らと正反対の投資スタイルを基本としているのが、こうしたクリスチャンの投資家たちなのです。
彼らの多くは、潜在的に「利回り」に罪悪感を抱いているかのごとく、ペーパーマネーには見向きもせず、「元本」そのものに対する投資を勧めています。それが、この地球上で唯一の「正貨」である金と銀の現物投資なのです。
「正貨」こそが真の通貨であることは疑いのないことです。しかし、「正貨」ですから利回りは付きません。
彼らは、聖書の教えから「正貨」は絶対的な価値を持っていると考えているので、本当のところ、金や銀の現物を買うことを、彼らは投資とは呼んでいません。
そもそも「利回り」が付かないのですから、「投資ではない」ということになるのです。
そうした意味において、リンゼイ・ウィリアムズやハリー・デント、そして、このエゴン・フォン・グレヤーズを、果たして投資家と呼んでいいのかどうか迷うところです。
投資家というより、経済崩壊によって資産が大幅に目減りしてしまうことを避けるため、金と銀という「ハイパー・インフレが到来したときに備えてのもっとも優れた保険」を勧めているライフ・プランナーのように見えます。